サブプライム問題は欧米金融機関の自己資本を毀損しています。金融機関の自己資本が毀損すれは、2007年からの新BIS(世銀)規制により、貸し出しを減らす必要が出てきます。これが日本でも経験し、苦しんだ世に言う金融機関の「貸しはがし、貸し渋り」です。「貸しはがし、貸し渋り」が続くと、米国の景気は良くなりません。ここに、市場で言う「公的資金でいくら不良債権を処理しても景気は良くならない」という根拠があります。「貸しはがし、貸し渋り」をなくす金融機関の自己資本の充実が景気回復に必要条件というわけです。 しかし順番というものがあります。一度決まった公的資金投入の効果が無ければ次善の策がとられます。なぜなら、それまで投入した資金を無駄にしたくないと誰でも思うからです。一旦、公的資金投入が決まったのであれば、まずそれを実行しなければないません。しかし、先般、公的資金投入が法律で決まった政府系住宅金融機関(GSC)への実行がなかなか出来ないでいます。9月28日に米政府と米国議会で合意した金融機関への公的資金投入による不良債権処理も、法案が議会で通っても、なかなか思い切って実行できない可能性があります。これを実行しなければ、次の段階の「貸しはがし、貸し渋り」を防止する金融機関への公的資金による資本増強に進むことが出来ません。そうなれば、上述の理由により、米国の景気の回復がおぼつかなくなり、米国内の景気低迷が長引くことになります。 何が言いたいのかといえば、公的資金投入を実行させるには、「危機回避のため、米国民の財産を守るため」という大義名分が必要だということです。そのために、「もう一度米国株式市場の下落が必要になる」と、米国の為政者達が考えても不思議ではありません。それを演出するのは、政府高官からのネガティブサプライズ(驚きの弱気材料)のリークです。 現在の米国の住宅在庫状況から鑑みて近い将来、住宅価格が底入れをするとみています。そうなれば、今値のつかない住宅ローン担保債券が急反発すると考えられます。世界の鉱工業生産指数は前年同月比4.1%増と順調(スフィンクスインベストメント藻谷エコノミスト)で、「物の世界」に「お金の世界」の問題がまだ波及していません。この状況からして、米国の公的資金投入が早期に実行されれば、景気後退への不安が解消され、本格的株式市場の底入れが実現すると考えています。その時期は近く、年内でしょう。 下のグラフを見ながら考察し、米国NYダウ30種平均(青線)の底値を予想すると、2003年安値からの上昇後の2004年の踊り場の10000ドル前後、および一年移動平均(赤線)12707ドルの−20%の10165ドル当たりが最後の駄目押しになる可能性が高いと考えています。NYダウ30種平均が下がれば、日本株も影響を受けるでしょう。その時が日本株の最後の投資タイミングと考えています。ここからの下げは知れている加も知れませんが、現在株式を保有している投資家にとってはきつく、不安な下げとなるでしょう。しかし、5年から10年に一度の日本株の転換点と考え、我慢のしどころです。余裕のある投資家は、その時が株式の中長期投資のため、全力投球をするところと考えます。
(注意:本稿は投資家に代わって投資判断を行うものではなく、一切の責任を負いません。)
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