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株式市場の語りびと
株式市場で起きていることは、すべて原因があって結果がある。その原因を科学的に分析することを目的とする。
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15.11.15号 海外投機筋の悪戯
裁定取引に係わる現物株買い残高(金額)と日経平均のグラフ①を見ると、概ね天底が一致しています。

裁定取引

過去3年間の最大の急落、2013年5月のバーナンキ前FRB議長の金融引締め発言ショックによる下げは、裁定取引に係わる現物株買い残高(金額)は約半分に減少し、株価は約20%下落しました。

今回のギリシャ・中国懸念、人民元切り下げの2度のショックによる3ヶ月にわたる下げは、裁定取引に係わる現物株買い残高(金額)は約半分以下に減少し、株価は約19%下落し、2013年5月と同等の規模の下げであったことが分かります。

グラフ①を見る11/6現在の裁定取引に係わる現物株買い残高(金額)の2.52兆円は高い水準ではありません。

しかし、9/4の1.74兆円の水準から見たら、海外投機筋は日本株の裁定取引残高をかなり積み上げてきていることが分かります。

特に10/20のシカゴのCFTCの円ネット売り残高約マイナス3千枚から直近では、約マイナス4.3万枚に積み上げていることから「円売り、日本株買い」の裁定取引が活発化していることが見て取れます。

彼等の常套手段は「膨らませては縮ませる」手法で、「買いでも売りでも儲ける」というルシャトリエの定理に基づく投資手法です。

裁定取引に係わる現物株買い残高の水準は低いけれども、1.74兆円から積み上がった金額は結構デカイのです。

先週11/11の裁定取引に係わる現物株数(17.76億株)から推計すると、2.6兆円近辺まで積みあがっていると思われます。

米金利引き上げ懸念で先週の「米国株は3.7%の下落」、「日本株は1.7%の上昇」と安倍政権の国策に乗っかったヘッジファンドは、今週月曜日の日本の2四半期連続マイナス予想の7-9月GDPの発表やS&P500の米VIX指数(恐怖指数)が20%のボーダーラインを先週末に超えたことを受けて、積み上がったタネ玉の日本株を活用して一時的な波乱相場(売り仕掛け)を仕掛ける可能性が高いと思われます。

しかし、その規模は海外投機筋の悪戯程度(日経平均で数百円)のものでしょう。

基本、彼等は「安倍政権は長期化する」と強気で見ています。

長期ファンドは対日投資を継続するでしょう。

なぜなら、安倍政権は米国の国策にも支えられ始めているからです。

習近平主席訪米が、優柔不断だったオバマ大統領の対中強硬策へ転換させ、キッシンジャーなど親中国派の政治家や有名なデヴィッド・シャンボー氏(ジョージ・ワシントン大教授)など「チャイナ・スクール」の親中国派がこぞって百八十度宗旨換えをしたという米国の国策(米中冷戦時代)に絡んでいます。

中国の石油王・周永康(しゅうえいこう)氏の失脚は長年に渡って築いてきた米国石油資本(ロックフェラー?)の中国利権の喪失に繋がっており、米国の政策転換への影響力があったといわれています。

米中戦争にまで発展するとは思われませんが、オバマ後の次期大統領は米中冷戦時代を視野に入れて動き始めています。

海外投資家は政治問題を重要視します。

彼等はまた国策を大変重要視し、故に堂々と政府高官とのパイプを強くしようと画策します。

マスコミは安倍政権のあら捜しをして、いかにも日本経済を海外投資家が弱気に見ているような記事を掲載していますが、海外の機関投資家は明らかに違う見方をしています。

安倍政権は効率的社会の仕組み(中心をROE経営)で持続的企業収益拡大の仕組みを作り、国民自身が年金投資を通じて「その国のオーナーになる」こと、「ピープルズ・キャピタリズムの確立」を目指していることを彼等は見通しています。

世界を見回しても、グローバル・インフレの時代からグローバル・ディスインフレの時代を迎え、日本以外の先進国はこれからデフレの難局に向かいますが、失われた20年でデフレ経済を経験した少子老齢化の先進国は唯一日本だけなのです。

日本は他の先進国とちがいます。

効率的社会を目指す長期政権と金融緩和、原油安にオリンピック特需と好環境に恵まれている国が日本であるという基本認識です。

したがって、今週、海外投機筋の悪戯(売り仕掛け)があったとしても、押し目は買い向かいという結論にならざるを得ません


(注意:本稿は投資家のために投資判断を行うものではなく、一切の責任を負いません)
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